税金関連コラム

企業は"株主のもの"が鮮明になってきている

今回は、企業の利益配分の一環である「配当」についてふれます。経済がグローバル化してゆく中で、企業は誰のものかという議論が活発に行なわれたのは記憶に新しいことです。

そうした経緯から、現状の日本企業の多くは、以前では考えられないくらい株主に配当という形で報いています。2008年3月期決算の上場企業の純利益に占める配当の比重は約40%に達しました。この比重のことを『配当性向』と言い、欧米の水準に近づきました。つまり、企業は株主のものであるという観点から、株主重視の姿勢を鮮明に打ち出しています。

好況といわれた2008年期決算に対して、真逆の最悪の決算環境になりそうな2009年3月決算でも、減配、無配に陥る企業は極端にはひどくはありません。

その理由のひとつは、企業には"株主価値の最大化"という要請を背負っていることもあって、いわゆる"時価総額"を縮小することは避けなければならないということです(時価総額=株価×発行済み株式数)。

すなわち、株価維持のためには配当に配慮をしなければならないという、いわば"配当政策"上の判断があるのです。昨今のアメリカ発の金融危機、景気後退局面の中で、短期的業績の拘束を余儀なくされる経営環境を、一方の問題点になっている雇用問題も含めて、あらたな課題に向き合っていかなければならない局面になってきています。